フリーターが正社員として採用され、勤務先が社会保険の適用事業所であれば、原則として健康保険と厚生年金に加入します。正社員の場合、「週20時間以上」「月額賃金8万8,000円以上」といった短時間労働者向けの条件を満たすかどうかで判断するわけではありません。
ただし、勤務先が社会保険の適用対象か、雇用契約上の働き方が正社員に当たるかによって扱いが変わります。
正社員なら社会保険に加入するのが原則
正社員として雇用される場合、勤務先が健康保険と厚生年金の適用事業所であれば、入社時から社会保険の加入対象になります。本人が「フリーターだった」ことや、これまで国民健康保険・国民年金に加入していたことは、正社員としての加入可否を決める条件ではありません。
ここでいう社会保険は、主に次の2つです。
- 健康保険:病院などで受診するときの公的医療保険
- 厚生年金保険:会社員などが加入する公的年金
保険料は給与から本人負担分が差し引かれ、会社も負担します。正確な加入日や保険料は、入社日、給与、標準報酬月額などによって決まります。
加入するための主な条件
正社員として社会保険に加入するかは、主に「勤務先が適用事業所か」「正社員に近い勤務実態か」で判断します。
勤務先が社会保険の適用事業所であること
法人の会社は、原則として健康保険と厚生年金の適用事業所です。個人事業所でも、業種や従業員数などの条件によって適用対象になる場合があります。
そのため、正社員として入社する会社であれば、通常は会社側が社会保険の加入手続きを行います。ただし、個人事業所などでは扱いが異なる可能性があるため、雇用契約書や採用担当者への確認が必要です。
正社員と同じ基準で働くこと
正社員ではなく、契約社員・アルバイト・パートなどの名称で雇われる場合でも、正社員と比べて勤務時間と勤務日数が一定以上であれば、社会保険の加入対象になります。
一般的には、同じ事業所の正社員と比べて、次の両方を満たすかが判断材料になります。
- 1週間の所定労働時間が、正社員の4分の3以上
- 1か月の所定労働日数が、正社員の4分の3以上
たとえば正社員が週40時間、月20日勤務の会社であれば、目安は週30時間以上かつ月15日以上です。ただし、実際の判定は会社の所定労働時間・所定労働日数や雇用契約の内容に基づいて行われます。
正社員ではない場合も社会保険に加入することがある
フリーターのままアルバイトやパートとして働く場合でも、一定の条件を満たすと社会保険の加入対象になります。代表的な確認項目は次のとおりです。
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 月額賃金が一定額以上
- 2か月を超えて雇用される見込みがある
- 学生ではないことなど、対象外条件に該当しない
- 勤務先が短時間労働者への適用対象となる規模・事業所であること
短時間労働者に関する勤務先の規模や賃金の基準は、制度改正によって変わることがあります。また、契約期間、学生かどうか、会社の適用状況によって判断が分かれるため、正社員ではない場合は入社前に勤務先へ確認してください。
「正社員ではないから社会保険に入れない」とは限りません。反対に、条件を満たしているのに加入手続きが行われていない場合は、給与担当者や年金事務所への確認が必要です。
社会保険に加入すると何が変わる?
社会保険に加入すると、健康保険料と厚生年金保険料が給与から差し引かれます。国民健康保険や国民年金に加入していた人は、原則として勤務先の健康保険・厚生年金へ切り替えることになります。
厚生年金に加入すると、国民年金だけの場合と比べて、将来受け取る年金額が増える仕組みがあります。また、健康保険には、病気やけがで仕事を休んだときに支給される傷病手当金など、健康保険独自の給付があります。給付にはそれぞれ条件があります。
なお、社会保険料の本人負担分が給与から差し引かれるため、加入後は手取り額が減ることがあります。ただし、会社も保険料を負担するため、国民健康保険・国民年金に加入している場合との単純な手取り比較だけで判断しないことが大切です。
雇用保険とは加入条件が違う
社会保険と雇用保険は別の制度です。正社員として働く場合、社会保険に加えて雇用保険の加入対象にもなるのが一般的ですが、判断基準は同じではありません。
雇用保険は、原則として次のような条件を満たす労働者が対象です。
- 週の所定労働時間が20時間以上であること
- 31日以上雇用される見込みがあること
失業したときに受け取る基本手当などは、雇用保険の加入期間や離職理由などによって決まります。健康保険・厚生年金への加入と、雇用保険への加入は分けて確認しましょう。
入社前に確認する項目
フリーターから正社員になるときは、求人票だけでなく、雇用契約書や労働条件通知書で次の項目を確認してください。
- 雇用区分が正社員になっているか
- 健康保険と厚生年金に加入する予定か
- 社会保険の加入日が入社日になっているか
- 給与から健康保険料・厚生年金保険料が控除されるか
- 雇用保険にも加入する予定か
会社から「正社員なら加入する」と説明されても、書面に記載がない場合は、加入する保険の種類と加入日を採用担当者に確認しておくと安心です。
国民健康保険と国民年金の脱退手続き
勤務先の健康保険と厚生年金に加入した後は、国民健康保険について自治体で脱退手続きが必要になることがあります。国民年金は厚生年金への加入に伴って切り替わるため、通常は自分で第1号被保険者から第2号被保険者へ変更する手続きを行いません。
ただし、自治体の国民健康保険は自動的に脱退できない場合があります。勤務先から受け取った健康保険の資格情報が分かる書類などを用意し、住んでいる市区町村の窓口で必要な手続きを確認してください。
加入できているか分からないときの確認方法
まず、労働条件通知書や給与明細を確認します。給与明細に健康保険料と厚生年金保険料の控除があり、健康保険の資格情報も確認できれば、加入手続きが進んでいると考えられます。
控除がない、加入日が不明、会社から説明がない場合は、次の順番で確認します。
- 会社の人事・総務担当者に、健康保険と厚生年金の加入日を確認する
- 労働条件通知書と給与明細の内容を照らし合わせる
- 解決しない場合は、年金事務所や自治体の国民健康保険窓口に相談する
正社員として社会保険の加入対象であるにもかかわらず、会社が手続きをしていない可能性がある場合は、雇用契約書、給与明細、勤務時間が分かる記録を保管しておきましょう。
フリーターが正社員として働く場合、社会保険の適用事業所で雇用されることが、加入の基本条件です。入社前に「健康保険・厚生年金の加入予定」「加入日」「給与からの控除」を確認し、加入後は国民健康保険の脱退手続きが必要か自治体に確認してください。







