フリーターが正社員になると社会保険の仕組みはどう変わる?

フリーターが正社員になると社会保険の仕組みはどう変わる?

フリーターから正社員になると、原則として勤務先の健康保険と厚生年金に加入し、保険料は会社と本人が分担して給与から差し引かれます。国民健康保険・国民年金を自分で納めていた場合は、加入先と支払い方法が変わるのが大きな違いです。

また、雇用保険や労災保険の対象にもなります。ただし、フリーターでも勤務時間などの条件を満たしていれば、すでに社会保険に加入している場合があります。

正社員になると社会保険はどう変わる?

正社員は通常、勤務先を通じて次の保険に加入します。

保険 正社員になった場合の主な仕組み
健康保険 病気やけがの医療費に使う。保険料は原則として会社と本人が分担する
厚生年金保険 老齢年金、障害年金、遺族年金などに関わる。保険料は会社と本人が分担する
雇用保険 失業したときの給付や、育児休業給付などに関わる。加入条件を満たすと給与から保険料が差し引かれる
労災保険 仕事中や通勤中のけが・病気などを補償する。保険料は全額会社が負担する

正社員の場合、健康保険と厚生年金の保険料は給与や賞与をもとに計算され、通常は毎月の給与から控除されます。保険料の具体的な額は、給与、加入する健康保険、都道府県、年齢などによって変わります。

国民健康保険・国民年金からの主な変更点

これまで自分で国民健康保険と国民年金に加入していた人は、正社員になると、原則として勤務先の健康保険と厚生年金へ切り替わります。

健康保険の支払い方法が変わる

国民健康保険では、住んでいる市区町村などに保険料を納めます。一方、会社の健康保険では、保険料が給与から天引きされ、会社負担分と合わせて勤務先が納めます。

会社の健康保険に加入した後は、国民健康保険を重ねて払い続けないよう、住んでいる自治体で脱退手続きが必要になることがあります。勤務先から健康保険の資格情報を受け取ったら、自治体の案内に従って手続きを確認してください。

国民年金から厚生年金に変わる

国民年金では、原則として自分で保険料を納めます。厚生年金に加入すると、厚生年金保険料が給与から控除され、会社も保険料を負担します。

厚生年金の保険料には、国民年金にあたる部分も含まれています。そのため、厚生年金に加入している期間について、国民年金保険料を別に納める必要は通常ありません。

また、厚生年金に加入した期間は、将来受け取る年金額の計算にも反映されます。ただし、年金額は加入期間や給与などによって決まるため、正社員になれば一定額が必ず増えるという意味ではありません。

フリーターでも、すでに社会保険に入っている場合がある

「フリーターだから国民健康保険・国民年金」とは限りません。アルバイトやパートでも、勤務先の規模、契約上の勤務時間、契約期間などの条件を満たすと、健康保険と厚生年金の加入対象になります。

たとえば、正社員の所定労働時間や所定労働日数に近い働き方をしている場合は、雇用形態がアルバイトでも加入対象になることがあります。短時間勤務者にも加入対象が広がっているため、現在の給与明細に「健康保険」「厚生年金」の控除があるか確認しましょう。

すでに勤務先の健康保険と厚生年金に加入しているなら、正社員になったときの大きな変化は、給与や勤務条件に応じて保険料が変わることや、雇用保険などの扱いが変わることです。

正社員になると手取りは減るの?

正社員になると、給与明細から健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料などが差し引かれるため、額面給与と手取り額には差が出ます。国民年金や国民健康保険を自分で納めていた人は、給与天引きに変わることで、手取りだけを見ると減ったように感じることがあります。

ただし、会社の健康保険と厚生年金では、原則として保険料の一部を会社が負担します。国民健康保険や国民年金との単純な金額比較はできないため、次の費用を合計して比べることが大切です。

  • 正社員になった後の給与から控除される社会保険料
  • 現在、自分で納めている国民健康保険料
  • 現在、自分で納めている国民年金保険料
  • 住民税や所得税など、社会保険料以外の控除

正確な手取りを知りたい場合は、採用条件通知書や給与明細で額面給与と控除項目を確認し、勤務先の担当者に保険料の見込み額を尋ねるのが確実です。

家族の健康保険の扶養に入っている場合はどうなる?

家族の健康保険の扶養に入っている人が正社員として勤務先の健康保険に加入すると、原則として家族の扶養から外れ、自分の勤務先の健康保険に加入します。

扶養から外れるかどうかは、年収の見込み額だけでなく、勤務先で社会保険の加入対象になるかどうかが重要です。勤務条件が決まったら、勤務先と家族が加入している健康保険の双方に、扶養の扱いを確認してください。

なお、健康保険の扶養に入れるかどうかの基準と、所得税の扶養控除・配偶者控除の基準は別の制度です。社会保険の扶養から外れたからといって、税金の扱いまで同じになるとは限りません。

雇用保険と労災保険も確認する

正社員になると、通常は雇用保険の対象になります。雇用保険は、退職後の失業等給付、育児休業給付、教育訓練給付などに関係する制度です。加入には勤務時間や雇用見込みなどの条件があります。

労災保険は、正社員だけでなく、アルバイトやパートを含む労働者が対象です。仕事中や通勤中の事故などが起きた場合に関係するため、正社員になったときだけ新たに発生する保険とは限りません。

入社後に確認すること

正社員になる前後は、次の順番で確認すると、保険の切り替え漏れを防ぎやすくなります。

  1. 雇用契約書や労働条件通知書で、給与、勤務時間、入社日を確認する。
  2. 健康保険、厚生年金、雇用保険の加入対象になるかを勤務先に確認する。
  3. 給与明細で、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料が控除されているか確認する。
  4. 国民健康保険に加入していた場合は、自治体で脱退に必要な手続きを確認する。
  5. 国民年金を自分で納めていた場合は、厚生年金への切り替えが適切に反映されているか確認する。
  6. 家族の健康保険の扶養に入っていた場合は、扶養から外れる手続きが必要か確認する。

入社後も給与明細に社会保険料が表示されない場合や、資格情報のお知らせなどが届かない場合は、まず勤務先の人事・労務担当者に確認してください。国民健康保険の脱退時期や必要書類は自治体によって案内が異なるため、自治体にも確認が必要です。

フリーターから正社員になったときの仕組み

正社員になると、原則として勤務先の健康保険と厚生年金に加入し、保険料を会社と分担します。国民健康保険・国民年金を自分で納めていた人は、加入先と支払い方法が変わります。

一方、フリーターでも勤務条件によっては、すでに勤務先の社会保険に加入している場合があります。まずは現在の給与明細と、正社員になった後の雇用条件を比べ、健康保険・厚生年金・雇用保険の加入状況を勤務先に確認しましょう。